陰鉄
陰鉄ぐるぐる
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考察・詰め合わせ 1




「金光瑶の妻 ”秦愫(チン・スー)” の死は自殺?他殺?」

芳菲殿
ハッキリ言うと、他殺 だと思います。

自分 で腹を刺しましたが、 他殺でしょう。

そして犯人は誰かというと、聶懐桑 だと思います。

手紙を書いた主犯は彼だけど、さすがに殺しは無理じゃない?
…と思うでしょうが、犯人だと思っています。

金光瑶が大切に隠していた宝物を描いてみました。

  ①生首(赤鋒尊)
  ②土地権利書(雲萍城)
  ③匕首(温若寒が温情に与えたという妖刀)
  ④夷陵老祖の書き付け(舎身呪)

この中で注目して欲しいのは、①~③の宝物です。
中国史好きならこの3点から”ある人物”を連想すると思います。
秦の始皇帝「政」を 暗殺 しようと咸陽にやってきた男「荊軻(けいか)」です。

【荊軻の暗殺計画】

  ・①政の怒りに触れた樊於期の生首と②領地割譲の証書(地図)を政に差し出し、機嫌を取る!
  ・政が証書を広げると中から③匕首が出てくる!
  ・政がひるんだ隙に匕首を使って政を切り殺す!

  …この暗殺計画は失敗し、荊軻は切り殺されてしまいました。(詳しくはwikiを参照)

というわけで、荊軻にちなんだものがここで登場します

  ①樊於期(ハン・オキ)の生首→赤鋒尊の生首
  ②領地割譲の証書(地図)→土地権利書
  ③越国の刀匠、徐夫人の匕首→温若寒が温情に与えたという妖刀

こうして並べてみると、ほとんど同じです。
これらがどうして聶懐桑と結びつくのか?
それは 聶懐桑 も荊軻に関するモノを持ち歩いていたからです。

    輿世(亦)殊倫(人より実力が傑出している)


この言葉は、西普の詩人 左思が 荊軻 の才能を詠んだものです。

輿世殊倫そしてこれは 聶懐桑 が常に持ち歩く デカ扇子 の裏に古漢字で書かれているのです。

聶懐桑と荊軻がつながりました!

秦愫は匕首の持ち主である ”温情” の名を聞いたら「短刀で自害!」と
暗示をかけられていたのではないでしょうか。(たぶん)


秦愫に暗示をどうやってかけたか…。
聶家の宗主が他人の奥さんとこっそり会うわけにはいきません。
その頃、莫家から美少年が金鱗台にやってきました。

莫玄羽です。

金鱗台での彼の奇行は有名でした。
顔を隠すように面を着けたり、顔を白く塗ったり。
ドラマでは莫玄羽は秦愫に付きまとったそうですが、それは 莫玄羽に化けた聶懐桑 だったのかなと思います。

莫子淵が莫玄羽に 「母親のように白日夢(妄想)を見るな」 と言っているシーンがありました。
ひょっとしたら莫玄羽も夢想する気質を受け継いでいたかもしれません。
聶懐桑が莫玄羽に接触し、暗示をかけ、怖い夢、怖い妄想などを植えつけ、「顔を隠せば悪霊に見つからない」とでも言ったのではないでしょうか。
金鱗台でのスパイ活動をやりやすくするため、莫玄羽の妄想癖を利用した可能性があると思っています。

そして最後は「舎身呪」へと追い込むのです。


さて、どうして聶懐桑はそこまでして秦愫を狙っていたのでしょうか?
やはり赤鋒尊を殺した復讐だと思います。
金光瑶は本当に心から秦愫を愛していたと思います。
だからこそ目の前で自害させたのです。
自分も同じことをやられているからです。





「薛洋は何者?」

薛洋は7歳の時、馬車に指をつぶされました。
小指は元に戻りませんでしたが、他の指は治りました。
原始的な医療しかない時代に誰が治療を?
こんなことができるのは抱山散人しかいないと思いました。
なにしろ暁星塵の眼球を宋嵐に移植するほどの腕前ですから。

抱山散人はみなし児を連れて帰るそうなので、ケガをして死にそうになっていた薛洋を山へ連れて行くことは十分考えられます。

そこで療養しつつ、修練を積ませたのではないかと思います。
そうでなければ自称 ”ならず者” がどうして藍忘機や暁星塵の剣と対峙できるでしょうか。
聡明な薛洋を抱山散人は可愛がっただろうなと思います。
そしてどことなく薛洋が薛重亥に似ているので、ついつい陰鉄の事を話してしまったとか…。

…というわけで山には多くの孤児がいて、一緒に修練していたある日、山を下りようとする先輩の噂を耳にし、
どんなゴリラかと見に行けば、そこには絶世の美人!暁星塵が!!

 ひとめぼれ、追いかけたい! でもどうやって?

ふと扇子を持った貴公子と目が合う…聶懐桑である。
二人はここで知り合ったのでした…(妄想)




「魏無羨が落ちた罠 窮奇道から不夜天まで」

魏無羨が不夜天の崖から飛び降りて死のうと思った理由は本人にしか分かりません。
ただ罠があちこちに張り巡らされ、魏無羨が自滅への道をたどってしまったことは確かなので、その辺を考察してみたいと思います。


窮奇道の温寧:

    魏無羨と金子勲は、千瘡百孔の呪いをかけた、かけないで言い争いとなり、そこへ金子軒が止めに入ります。
    金子軒は金光瑶から「金子勲が千瘡百孔の呪いをかけられたこと」、「犯人は魏無羨ではないかと疑っていること」を聞いていたので、二人の置かれた状況はちゃんと理解していました。
    だからこそ魏無羨に対して「落ち着いて金鱗台で潔白の証明をたてよ!」と冷静に意見したのです。
    これは最善の助言であり、魏無羨は聞き入れるべきでした。
    しかし夜も寝ずに作った金凌への贈り物を金子勲が木箱ごと粉々につぶしてしまったことに腹を立て、陳情を吹き始めてしまいます。

    その時、金鱗台にいた金光瑶が琴で乱魄抄を奏でます!(タイミングや距離については目をつぶる)
    邪音が届き、魏無羨の気が乱れ、心が暴走を始めます。
    贈り物を壊された怒り、罪を擦りつけられた憤り、何もかもが腹立たしい。

    琴の音に呼応するように、すかさず蘇渉が笛を吹き、魏無羨の気を乱し温寧のコントロールを奪います。

    温寧の目に大小2つの瞳があらわれた意味は、2つの曲が心を支配し、大きい瞳は蘇渉の曲だということです。
    温寧の主導権を握った蘇渉は、「魏無羨の前に立っている男を殺せ!」 と温寧に命令します。
    しかしそこに立っていたのは金子軒。
    温寧は与えられた命令に従うだけ…いきなり金子軒の体を背中から素手でぶち抜きました。
    人を間違えたことに気がついた蘇渉が次に金子勲を殺させます。
    金子勲の声が出ないよう首を絞めたため、彼は息ができず絶命しました。

    そして我に返った温寧が茫然としている魏無羨を連れて乱葬崗に引き返しました。



吊るされた温家の人たち:

    温情の話では、温情と温寧の二人が金鱗台へ出頭すれば起こった事は不問にしてくれると言い、後は叔父さんたちが面倒を見ると言っていました。
    しかし実際は温家の人は吊るされ、ただ阿苑だけが乱葬崗に残っていました。
    31話を見ると、阿苑も温婆婆たちと一緒に見送るために山を下っています。
    別れがたく先へ先へと歩いているうちに結界を越えてしまい、隠れていた金光瑶の手下に拘束されたと思います。
    温情たちは騙されていたのです。
    小さい阿苑だけ手下の腕をかいくぐり、結界内に逃げ込むことができたのでしょう。

    魏無羨は不夜天の門で吊るされた温家の人々を見て、天灯に誓った言葉を思い出します。
    人々を助けるどころが逆に死へ追いやってしまった。
    金光善や金光瑶が温氏の生き残りを見逃すはずがないと分かっていたのに、自分の失態で殺戮の口実を与えてしまった。
    心がここでかなり折れたと思いました。



師姐の死:

    金光瑶が部下に送らせたのでしょう。
    金鱗台に魏無羨があらわれたらすぐに師姐を不夜天に連れてこいと命令しておいたと思います。
    師姐は魏無羨の唯一の弱点なので、不夜天を襲いに来たら投降をうながすための道具にしようとしたのでしょう。
    ダメなら陰虎符との交換に使おうと思ったかもしれません。
    乱葬崗からようやく魏無羨を引っ張り出せたチャンスなので逃したくなかったのでしょう。

    しかし師姐が来るまえに不夜天は乱戦となり、金光善と金光瑶が逃げ去った後、入れ違いで師姐がやって来てしまいました。
    師姐が目の前で殺されたことで、魏無羨は騒乱の元となった陰虎符を破壊し崖へと向かったのです。



心が折れた3つの要因

    ・制御できると自負していた温寧が暴走し、金子軒と金子勲を殺してしまった
    ・自分の信条である「鋤奸扶弱,無愧於心(強きをくじき弱きを助ける 良心に問うて恥じない)」を果たせず、
     逆にむごたらしい形で死なせてしまった
    ・師姐が目の前で切り殺された



崖落ちはドラマオリジナルなので、丁寧に伏線が張られているなと感じました。





「蔵書閣で恋占い」


  蔵書閣で魏無羨を見張る藍忘機!
  その手には森羅万象の変化法則を説いていると言われる中国の古書 『易経』 があった。
  静かに書物と向き合う姿はとても美人さんであった…(´ω`*)

その後、魏無羨が易経と春画本を術で取替え、ウブな藍忘機をからかうのです。


「易経」についてはwikiを見てください。
アニメでは藍家始祖の藍安が書いた詩文集「藍安 辞賦集」 になっています。

易経は中国の古書ですが占いにも使えます。もちろん恋占いもできます!
スタッフは藍忘機が魏無羨を強く意識していることを伝えたくて 『恋の占いブック 「易経」』 を持たせたのではないでしょうか。


そしてお待ちかねの春画本ですが、その時の様子を魏無羨が語ります。
中国語字幕版から翻訳しました。


(大きな岩の上で寛ぐ聶懐桑と江澄)

魏無羨:(藍忘機がページを破り捨て、表へ出ろ!とすごい剣幕だったことを告げて…)

(私訳)
魏:残念なのは聶兄からもらった、あの 「珍品・美人図鑑」 を オレはまだ見ていないんだ!(怒)
  藍湛ときたら、なんで美人を見たくせに不機嫌な顔して怒ってるんだ?

(日本語字幕)
せっかく聶兄からもらったのに、奴ときたら色男も形なしの険相で怒るとは!


日本語字幕だと情報量が少ないです。
魏無羨は 女性 の美人図を藍忘機に見せたと思っているんですね。
しかし中身は同じ美人でも 男 の方で…。

魏無羨は一緒に美人図を眺めて、男同士の会話を楽しめる仲になりたかったんですね。
「魔道祖師Q]でも藍忘機の好みの女子を知りたがっていました。
しかしここで聶懐桑の暗躍が発動!
もともと愛想のない藍忘機に対して良い印象がない聶懐桑が魏無羨を使って嫌がらせを仕掛けたんですね。

  藍忘機に対して:男同士の絡み絵なら冷静沈着な藍忘機でもサスガに顔を真っ赤にして怒るだろう!

  魏無羨に対して:申し訳ないけど、藍忘機に怒られてね♪ 殴られるかもしれないけど ヨロシク♪

この頃から聶懐桑は人を使う術に長けていたようです。
おかげで藍忘機は眠れない夜を…( ´艸`) たぶん…。





「藍氏の祖師 藍安 について思うこと」


日本人にとって中華の宗教って分かりにくいです。
たとえば姑蘇藍氏の祖師である藍安は「廟」で生まれました。
廟とは道教の神様や偉人を祭った建物ですが、仏教寺院の役割を兼ね備えたところもあったそうです。

アニメで登場した藍安の生涯を描いた『生平四景』を見ながら語ろうと思います。


伽藍

一番目の透かし窓は 「伽藍」。

中央に座る藍安は剃髪し、仏像を拝んでいます。
聡明で、教えを説けば賢人が大勢集まったそうです。
後ろ姿からも「高僧」の気品が漂っています。

彼は仏教を学びましたが若くして還俗(げんぞく:僧侶から俗人になる)し、山を下りました。




藍安

二番目の透かし窓は 「習学」。

音楽家として活躍している様子を描いたものです。
長い髪と美しい横顔が彼の充実した日々を感じさせます。

音楽家を仕事としながら、一方では仙門を作る方法を模索して諸国を遍歴していた時、
姑蘇で 「天定めし者」 と出会います。
二人は ”道侶” となり、苦労を重ねながら姑蘇藍氏の基礎を作りました。




道侶

三番目の透かし窓は 「道侶」。

立派な琴と蓮華の燭台、そして数珠が描かれています。
この燭台は死んだ人を弔うためのもの…。
「天定めし者」と思うほど惚れこんだ愛妻が突然亡くなってしまったのです。

その後の藍安の行動です。

    仙侶身隕之後,又回帰寺中,了結此身。

【私訳】
 仙侶(妻)が突然の死を迎えた後、以前修行していた寺に戻り、亡くなった。

※道侶から仙侶に呼び方が変わったのは、藍安が仙門の祖師になったからだと思います。

どうして藍安は姑蘇を捨て、苦労して立ち上げた仙門を顧みず寺に戻ってしまったのか。

画面の数珠に注目したいと思います。
還俗しても数珠は手放さなかったんですね。
その数珠は持ち主の手から滑り落ちたかのように8の字を描いたまま残されています。

私見ですが、古い数珠を見ているうちに寺で拝んでいた仏像を思い出し、その顔が妻そっくりなことに気がついたのではないでしょうか。
たまらなくなって数珠も拾わず駆け出していく姿を想像しました。
そしてそのまま姑蘇に戻ることもなく僧となった。
一番目の透かし窓に描かれた仏像の顔が雲で隠されている理由は暗にそれを示しているのではないかと思いました。



帰寂

四番目の透かし窓は「帰寂」。

山の上に寺の灯。
厚い雲に隠されている太陽…藍安の死を伝えています。



藍家の男は情熱的で愛情深いなと思います。
舞天女、観音廟の仏像、そして透かし窓の仏像と、物語の影に色んな像が隠れていますね。






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