陰鉄
陰鉄ぐるぐる

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数百年前


薛重亥の最後とその後に起こったことを考察してみます。



陰鉄を生み出した薛重亥。
大勢の仙師が殺され、一刻も早く手を打たなければ…という状況でした。
雲深不知処の寒潭洞で聞こえた唱和は五大世家が一致団結して薛重亥を倒そうと誓い合っていました。

しかし薛重亥の伏魔殿に突入したのは 温卯と家来 だけでした。
これは温卯が抜け駆けし、薛重亥を殺して陰鉄を独り占めしたことを意味していると思いました。


「温家の始祖 温卯とは」

温卯は血縁を重んじる仙門を立ち上げました。
一族の結束を強め、他の仙門の模範となるような仙師を育てるべく、家訓は厳しく、また違反する者には苛烈な罰を与えました。


【温門青華録】

    温家の知名度を利用して 人をあざむき 悪事を働く者は 一人残らず 殺すべし
    ただ殺すだけでなく 首を切り落とし 多くの人にツバを吐きかけてもらい 後世に警告すべし


温氏を最強の仙門に育てたいという願いが籠められた立派な語録集です。
しかし陰鉄を手に入れ、邪気に触れたことで本来持っていた欲望に飲み込まれ、陰鉄の力で他の仙門を支配したいと思うようになったのではないでしょうか。
薛重亥のように、”怨気を集めるために人を殺す” ことに執着するようになったのではないかと考えられます。

  薛重亥:

      温卯!お前たちの末路も私と同じだ!



「第4話 異端の仙師で出題された ”首斬り人” とは」

藍先生:

    両親や妻子のいる 首斬り人 が非業の死を遂げた
    斬首した数は100余人
    骸が7日もさらされ 怨念が悪霊となり凶行に及んだ
    どうする?


この問題に登場する 「首斬り人」 は 温卯 ではないかと私は考えています。
容赦なく斬首を命令する温卯を止めるため、ついに殺害されたのでしょう。
骸(遺体)が7日もさらされたのですから、家族(両親や妻子)も弔いたくない、関わりたくないということですね。
当時の人は死後、自分を祭る子孫がいないことを もっとも恐れていました。
温卯にとって血縁を大事に思っていたのにその血縁から見放される。
その仕打ちに納得できず、陰鉄を抱えたまま怨霊となってさらに人を襲うようになってしまったのでしょう。

温家以外の世家も今度こそ一致団結し、陰鉄を取り上げようと思うのですが、家族による度化でも鎮めることができず、怨念も断てない。
被害者が増えるほど凶暴さも増す悪循環です。
残る道は魏無羨が提案した、「首切り人の怨霊と被害者の怨霊を戦わせる方法」しかないのか?


「第四の方法」

第四の方法はあります。

温卯の霊を誰かが祭ればいいのです。

しかし温氏はすでに温卯を祭ることを拒否しています。

    ※のちに子孫が温卯の復権を画策し、窮奇道に窮奇と闘う壁画を捏造したり、温門青華録を整え、
    温卯が良き始祖であることを主張しました。(妄想)


他の仙門もこんな怨霊を迎え入れるわけにはいきません。

ここで手を挙げたのが 清河聶氏の始祖 です。

    まず温卯の強い怨気で陰鉄を鎮めます。
    陰鉄を割り、必要に応じて振り分けます。
    聶家では陰鉄で刀を精錬し、温卯の悪霊をこの刀に憑りつかせます。
    そして温卯の怨念が陰鉄から離れないよう、暴れないよう聶家で祭祀をおこないます。


この辺は映画「乱魄」を見て思いつきました。
こんなの通用するの?と思われるでしょうが、大丈夫だったようです。
特に温卯の強い怨気で陰鉄を鎮めることについては魏無羨がこう言っています。


魏無羨:

    先生、霊気も怨念も ”気” でしょ
    ”霊気”は丹田にため 力 に利用できるなら”怨念”も利用できる(4話)



温卯は祭祀をおこなってくれる聶家の刀本尊(刀霊)となり、歴代宗主の刀に分霊し、宗主を守り妖魔駆除に力を貸します。
聶家では高級黒毛牛を温卯のために犠牲にし、先祖たちと同じように祭祀をおこなうことにしたのでしょう。

その後、六代目が祭刀堂を建て、牛以外には妖魔や物の怪も供えるようになりました。




「おまけ:人食い霊堂(祭刀堂)を守る 妖怪 とは?」


魏無羨:

    第二の防御線、行路嶺の 妖怪 だ。
    誰かが流言を恐れずに潜入したり、もしくは誤って立ち入った場合も 妖怪 を見れば、
    慌てて逃げだすはずだ。



窮奇

その「妖怪」が ”こいつ” です------→

牛のような体にはハリネズミのようなトゲが生えている。
犬のように鳴く。
脚の付け根に羽が生えている。
人を足先から喰う。
意外と知能が高く、主人想い。


名は 窮奇(きゅうき)。
山海経にも登場する妖獣(四凶)です。
虎の姿で描かれることもありますが、私は断然「牛推し」です。
原作では温卯が窮奇道で”窮奇”と死闘を繰り広げたという話を紹介しています。

温卯の祭祀の際に犠牲となった牛が邪祟化したもの。
聶家を守る良い子。

ドラマでは窮奇本体の登場はありませんでしたが、気配はバンバン出してました。

・聶家の家紋(獣頭紋)。
・行路嶺の祭刀堂を警護。(刀祭堂の守り神的存在)
・藤などツルのある木を使って人を排除したり、時には殺して邪祟として刀霊に与える。
・侵入者を驚かす(犬の鳴き声を聞いて魏無羨が震えていましたが、あの鳴き声が窮奇)。
・悪詛痕で獲物を呪い操り、祭刀堂の壁の中に埋め込んで土と同化させる(命を奪う)。
 同化させた人間の霊識を刀霊の対戦相手として再利用する。

・刀霊と祭刀堂の関係
  藍忘機に捕まった聶懐桑が宿屋で二人に差し出した ”祭刀堂の石” は、祭刀堂が帯びている ”気” に染められていたため、
  刀霊が入った袋はその ”気” に反応し、”石” に飛びかかりました。
  悪詛痕に反応したわけではないです。悪詛痕なら足に飛びかかるはずです。
  聶懐桑が石を見せたのは、金凌の無作法をグチるためではなく、
  二人に「刀霊=祭刀堂=覇下」が繋がっていることを気づかせるための行動です。


映画「乱魄」のオープニングで祭刀堂の壁画が映ります。
そこには温卯と窮奇が仲良く登場しています。


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