陰鉄の謎
陰鉄有霊 四方鎮之 四方之気 尽帰玄武
陰鉄の霊 四方で鎮める 四方の気は 玄武に帰する
<藍翼の説明>
数百年前、陰鉄はまだ欠片ではなかった。
夷陵の乱葬崗は一面の仙山で、当時、最強の国師 ”薛重亥” の拠点だった。
そして薛重亥が 陰鉄 という霊物を生み出した。
なぜ薛重亥が陰鉄に怨念を吸わせ人々を犠牲にしたのか分かっていない。
薛重亥は古の妖獣 ”屠戮玄武” を操り仙門の衆派を虐殺し、人の霊識や修師の霊元まで吸収させた。
五大世家は薛重亥を殺し屠戮玄武を鎮めたが、大勢が命を落とし、夷陵仙山は屍ばかりの乱葬崗となった。
その後、五大世家は陰鉄を鎮め、いくつかの欠片とした。
霊脈の豊かな地に陰鉄を隠し、後世に陰鉄を伝えぬよう五大世家で決めた。
陰鉄の誕生について
陰鉄はドラマ「陳情令」のオリジナルアイテムです。
「屠戮玄武の正体は?」
薛重亥が陰鉄と共に操った ”屠戮玄武” を紹介します。
ちょっと描いてみました。
細長い首に丸みのある甲羅。
視力が弱い分、嗅覚は強そうです。
「玄武」という名前ですが、見た目から魏無羨が「正体は、王八(亀、すっぽん)」と藍忘機に説明していました。
人を飲み込み、甲羅の中に立たせて霊識をチューチュー吸います。
甲羅の中には屠戮玄武を封印するための「暗黒剣」が刺さっていましたが、魏無羨が引き抜きました。
そして屠戮玄武は藍忘機の弦殺術で殺されてしまいました。
弦殺術とは、「骨を切り、肉を泥のように削ぎ、内部から攻撃し破壊できる」そうです。 ドラマだと糸が首に巻きついていただけのように見えましたが、内部の肉はグチャグチャにされていたんでしょうね…。
「屠戮玄武」と「玄武」の違い
名前以外にどこが違うのか比べてみました。
いらすとやさんの絵だと尻尾がふさふさしてます。
見た目の違いは 「蛇」 が付属しているか、していないか…です。
玄武 という名前なのですから、もともと「蛇」はついていたと思います。
「蛇はどこへ?」
おそらく 「蛇」 は陰鉄を精錬する際に一緒に練りこまれてしまったと思います。
古代中国では金属の精錬に人間を炉に投げ込むような話が出てきますが、ドラマでは玄武の蛇が使われたと思います。
その証拠として魏無羨が陰虎符を使って血の不夜天で大暴れした時に呼び出した黒雲の姿はまさしく「邪蛇」でした。(ドラマからキャプチャーしました→)
その目的は:
1:陰鉄の霊力を強め、怨念を吸収しやすくする
2:蛇の妖力を使って屠戮玄武を操る
仲良くしていた2匹を己の目的のために引き離し、利用するとは…薛重亥の野望の強さを感じます。
陰鉄の創造主! 薛重亥について
<名前の由来はここから?>
中国六朝時代の代表的な短編小説集 『幽明録(ユウメイロク)』 という書物の中に 「薛重(シュエ・チョン)」 という題名の話が載っています。
薛重という名の男が、休暇で単身赴任先から実家に戻ると、
なんと妻しかいないはずの寝室から男のイビキが聞こえてきた。
中に飛び込むと男は見つからず、そこには酒臭い大蛇が寝ていたのだ。
薛重は蛇を細切れに切り分け、裏の溝に捨てた…云々。
1.名前 「薛重」 が似ている
2.大蛇が登場し、切り刻む
色々と重なる部分があります。
また姓が「薛」なので、「薛洋が陰鉄の秘密を知っているのは 薛重亥の子孫 だから!」という説に 誘導 しやすいと思ったのでしょう。
ちなみに物語の薛重は、死んだ蛇が冥界の番人に嘘を吹き込んだせいで寿命前に死んでしまいます。 しかし冥界のお奉行様?が蛇の嘘に気づき、薛重を生き返らせてくれました。(よかった、よかった)
「陰鉄を生み出した理由は?」
地位も権力も手にした男がどうして「陰鉄」を作り、人の霊識を吸わせようとしたのか。
世界を暗黒に変え、君臨してみたいと思ったのか?
ドラマでは登場しませんでしたが原著の方にヒントとなるような言い伝えが紹介されていました。
舞天女について:
玉皇大帝有一個寵愛的女兒,早早夭折,玉帝對愛女的思念凝成了這尊石像
天界を統治する玉皇大帝(最高神)には寵愛する娘がいた。
しかし若くして亡くなってしまった。
玉皇大帝の愛娘に対する想いが凝縮し、石が舞天女の石像になった
「玉皇大帝」を薛重亥に置き換えてみると、陰鉄を生み出した理由にたどり着ける気がします。
死んだ娘を生き返らせる…そういう目的ならありそうだなと思いました。
どうやって生き返らせるのか…方法は色々とありそうです。
人間1人分の陰気を集めて遺体をよみがえらせるとか、陰気で五行の反剋を起こし、死んだ人間を生き返らせるとか…、陰鉄がやがて生きた娘に変身するとか。
5個の陰鉄について
「陰鉄があった場所と大きさについて」
石が大きいほど ”影響力と凶暴度” が上がるような気がします。
| ①大梵山・舞天女祠
②雲深不知処・寒潭洞
③聶氏・祭刀堂
④薛洋
⑤暮渓山・屠戮玄武の暗黒剣
|
①舞天女の心臓に埋め込まれていた陰鉄 → 温若寒に奪われる。
②雲深不知処・寒潭洞→長年藍翼が鎮めてきた → 温旭に奪われる。
③聶氏・祭刀堂の陰鉄→映画「乱魄」では石像足元に石棺があり、中に陰鉄が封印されているような描写。
④薛洋の陰鉄の場所についてはドラマでも明かされることはありませんでした。
ただ映像を見る限り、小指の義指が陰鉄なんだろうと思います。
あの黒いサポーターの小指がいつもピンと立っていて、意味ありげに映っているのを見るとそう思ってしまいます。
魏無羨も言っています↓
魏無羨:最も危険な場所こそ 最も安全だ!
⑤屠戮玄武の剣はこの丸い部分の陰鉄を使って精錬されたと思われます。
「円グラフに潭州・蒔花苑の陰鉄が無い!」
蒔花苑で手に入れた陰鉄は入っていません。
なぜならニセモノだと思うからです。
陰鉄と一緒に役者が演技をしているシーンを思い出してください。
薛重亥、温若寒、藍家の面々が直接触れているシーンは1度も出てきません。
触れると、あの叫び声が聞こえ、気が荒ぶってしまうからでしょう。
それなのに温晁の陰鉄だけ手で直接触れられるのはどうしてか?
ニセモノだからです。
どうしてニセモノを蒔花苑に置き、わざわざ温晁に盗ませたのか?
それはニセモノを温氏に渡したかったからです。
3つの石のうち、2つしか本物でないというのは戦力的に大きな違いです。
さらに言うなら祭刀堂の陰鉄の存在を知られたくないというのもあります。
この作戦を考えたのはもちろん聶懐桑です。
聶懐桑は寒潭洞で陰鉄が見つかり、それを持って藍忘機が陰鉄探しの旅に出る情報を得ると、まず潭州で待ち伏せし偶然を装い藍忘機たちの旅に加わります。
そして蒔花苑で詩の会を開くという偽情報を街に流し、温晁にニセ陰鉄を奪わせたのです。
温若寒は自分が奪った舞天女祠の陰鉄と寒潭洞の陰鉄の形が ”そっくり” だという情報は持っていましたが、それ以外の陰鉄の形は知りません。
蒔花苑の陰鉄が他の陰鉄とそっくりに作ってあるのは、温若寒の思い込みを利用し、これが本物であると錯覚させるためです。
この思い込みは魏無羨や視聴者も同じで「陰鉄は扇型の欠片」と思い込んでしまうのです。
このニセモノを信じた温若寒は4つ目の陰鉄を持つ薛洋を探しだすことを優先させます。
暮渓山の洞窟から魏無羨と藍忘機を問題なく救出できたのは、見張りの人員を薛洋捜索に振り向けられていたからです。
陰鉄&陰虎符から精錬されたモノたち
私の乱暴な推測をまとめてみました。
|
延霊道人の扇子
のちに聶懐桑が所有する。
舞天女が襲ってくる時、悪夢で聶懐桑を起こし、攻撃から逃れることができました。
【まめちしき】
扇子はもともと日本生まれ。 北宋の頃に中国へ伝わったそうです。
|
|
蔵色散人の剣
のちに魏無羨の手に渡り、「随便」と名づけられる。 陰鉄の鳴動を知らせ、危機から逃がすのが本来の役目だが、雲深不知処の冷泉で蛇の妖魔を呼び寄せ、寒潭洞に二人を引きずり込み藍翼に会わせる。 |
|
暁星塵の剣 怨念を引き寄せる
毒に侵され、舌を失った相手だと人間か邪祟か区別がつかない。
|
|
屠戮玄武の腹の中にあった封印の剣。
急に消えたり、移動したり、巾着に化けたりする。 血を好む性質がある。 剣に触ると怨念の叫び声が聞こえる。
|
| 温寧の頭に刺さっていた釘 温寧の思考を制御するもの。 デザインからみて温情制作だと思いました。
|
| 宋嵐の頭に刺さっていた釘。
宋嵐の思考を制御するもの。
薛洋が作ったもの。
棺桶用の釘みたいで、その辺に落ちていたモノを再利用したのかもしれません。
|
|
お肌が角質化した傀儡。
普通の傀儡がパワーアップすると角質化するようです。
胸板が厚く、目がイケメン。
|
|
陰虎符によって傀儡にされると顔に 黒い 水紋風の線が浮かび上がります。
温寧がこのタイプです。
|
|
陰鉄によって傀儡にされると顔に 赤い 亀紋風の亀裂が浮かびあがります。
雲深不知処に運び込まれた弟子の顔にこの亀裂がありました。
ちなみに上に記した水紋とこの亀紋の元ネタは刀剣でおなじみの「干将と莫耶」から来ているのではないかと思います。 wiki参照してください。
|
陳情笛について
私見ですが、この笛は号笛(鳥笛)のようなもので、陰鉄の影響は受けていないと思います。
笛の方が怨念や傀儡などに指示を出しやすいので笛を使っているのだと思います。
観音廟で口笛だけで怨霊を呼んだりしていたので、笛が必ず必要という訳ではないようです。
この笛は竹製ですが剣を受け流すことができるので霊的な力を持った宝器だと思います。
乱葬崗で拾ったようなので薛重亥の物だったのかもしれません。
|