遊戯王の謎−重なる心編

闇人格たち−マリク・イシュタール



マリク・イシュタールの場合

    表と裏の性格をどんな風に描いているか、原作とアニメからピックアップしてみました。


    (アニメ)第89話 ラーの怒り 立て!城之内

      イシズ=あの儀式によってマリクの中に生まれた一個の人格。
      すべてを破滅に追い込もうとする暗黒に支配された憎しみの念。

      =オレにくらべればもう一人のマリクはおとなしい性格でね。
      デュエルのツメが甘いのも…そんな性格が災いしてるようだがな。


    第92話 古代神官文字の謎

      =ハハハ! と、まぁここまではオレの宿主の心を支配してたトラウマだ。
      暗闇で自由を奪われた者は自虐的な心に更なる闇を作り出す。
      そしてヤツの心の闇に内在する苦痛、憎悪…。そいつがオレを生みだしたのさ。

      =オレのバースデーはな、ヤツが十歳の時、墓守りの儀式を受けた日だ。
      ヤツの父親から与えられた苦痛と悲しみはヤツの心に自己破壊の願望を根付かせた。
      ヤツが生き抜きおのれを守るためにはオレというもう一人の人格を作り出す以外なかったわけだ。
      オレはその瞬間、ヤツの人格を支配できると思った。
      だがひとつだけ計画を狂わすことがあった。
      オレはヤツの怒りの感情によってのみ人格交代ができるのだが、リシド…あの男の自ら刻みつけた癒しの刻印によってヤツの怒りは封印されてしまったのだ。
      オレはマリクの心の奥深く幽閉された。
      だがヤツが倒れた今、ついにオレはこの身体の支配者となったのさ。


    マリクの多重人格について
      ▼「憎しみの念」 から生まれた闇マリク。
      彼は墓守の儀式を受けた時に自分は誕生したと言っています。
      闇マリクは、「オレがいなければ、マリクは苦痛と悲しみで自ら命を絶っていたはずだ」といいます。
      私が気になるのはこの「自己破壊の願望」です。
      二重人格で一番生まれやすいのが、この「自己破壊の願望を持つ人格」です。

      ▼心のメカニズムは不思議です。
      苦痛や悲しみを受けた心を救う場合、普通は自分を癒そうという感情が生まれます。
      自分を慰めたり奮い立たせたりして、穴のあいた感情を埋めていきます。
      しかし過酷な体験をした場合は違います。
      苦痛や恐怖を受けると人間は、そこから逃げ出すために命を絶ってしまいたくなる衝動に襲われるのです。
      「生きる苦痛よりも死ぬ快楽」を求めてしまうのです。

      ▼子供で例えるなら虐待を受けた子供が衰弱死していくあの感じでしょうか。
      命を放棄してしまうのです。
      自己破壊の人格は死を願う暗い願望に支配されているため自殺を繰り返し、いずれ主人格の命を奪っていくのです。
      それを考えればマリクはまだ精神の強さがあったということです。
      たとえあのような人格を持ったとしても。




    リシドの役割

      マリクにとってリシドとはなんでしょうか?


      ★癒しの刻印

      第24巻  遊闘214  復讐の一族!!

        私に…マリク様のその苦しみを…癒すことはできません…。
        ならば…せめて…この傷で…あなたと…あなたの一族に忠誠を誓わせて…下さい


      癒しの刻印…ヒエログリフで刻まれているため、私たちには読むことも出来ませんが、この文章または呪文で闇人格が封印されている…とは誰も思っていないような気がします。
      むしろリシドの存在自体が癒しなんだという感じがします。

      ではあの【刻印】はなんなんだ?  痛い思いをして刻んだ意味がどこにあるんだ?  と思うわけです。

      ▼儀式を受ける時、マリクが恐れていたのは、一族の秘密を継ぐとか、一族の長になるとかではなく、「刃物で肌を傷つけるとスゴク痛い」ということだったと思います。
      10才だし、子供が注射に怯えるようなものです。
      その痛みを自分が受けなければならない意味が分からず心が壊れそうになった時、その傷を埋めるためにもう一つの人格”闇マリク”が生まれました。
      傷の痛みでうめく中、表に現れるキッカケを狙っていた闇マリク。
      あのままリシドが普通に現れていたら、あっさり闇人格に肉体まで乗っ取られるところでした。
      それを阻止したのがリシドの顔に刻まれた刻印。
      この刻印を刻むことで 「体験の共有」 をマリクに示したのです。

      「体験の共有」で「この痛みに耐えているのは自分だけではない」と思い、癒されたマリク。
      言葉だけでなく身体を張ってそれをリシドが見せてくれたからこそ、マリクはリシドに絶対の信頼を寄せるのです。




    作者のお言葉


    原作者★高橋和希先生の単行本扉から引用
    ★9巻扉★

    「もう一人の自分」は誰の心の中にも存在してると思ってます。
    それは理想の自分であり到達した先に待っているモノかも知れません。
    でもそれが親とか世間とかの期待によって半ば強制的に植え付けられてしまった場合、その存在の重さに耐えきれず、やり場のない怒りに自分を見失ってしまうのかも知れません。
    「もう一人の自分」は自分自身が生み出すもの。
    つかず離れず、そいつの後ろをのんび〜りついて行くのがいいと思うんだけどね!

    ★18巻扉★

    「心の中に住む別の人格」
    これは「遊戯王」の核となる設定なのですが、漫画の中で描かれるキャラクターというものは、作者であるボクの心の中にいる別の人格なのかもしれません。
    ボクの心の中に遊戯がいます。
    城之内や海馬も…、パガサスも舞も…。
    牛尾やインセクター羽蛾!エスパー絽場!そして数知れないモンスター達……。
    一体オレはどうゆう人間なんだ!



    あれこれ解説しても原作者の言葉の前には何を書いても負けてしまう感じがします。