遊戯王の謎−重なる心編

二重人格の謎



遊戯王の物語で一番重要なコト…それは「闇」と呼ばれる人格者たちの存在です。
武藤遊戯には闇遊戯が、獏良了にはバクラが、そしてマリク・イシュタールには闇マリクが、宿っています。
彼らは必要に応じて表の身体を占有し、デュエルしたり、デートしたり、殺人を犯したりしています。
この異常な状態に私たちは違和感を覚えたりしませんが、実際にこんな友人が隣にいたらどうでしょうか…。
ここでは少し離れた視点で「闇の人格」について考えていきたいと思います。




普通、一つの身体に二つの人格が宿ることを「二重人格または多重人格)」といいます。
表遊戯が言う「二心同体」も分かりやすいですけど、これは辞書にはない言葉です。

普段、私たちが二重人格という言葉を使うのは、感情がコロコロ変わりやすい人や相手によって態度を使い分けるような人に対して、 「あいつは二重人格だ!」 と、陰口をたたく時だとおもいます。
が、本当の「二重人格」はこのように気分の浮き沈みであらわれる感情の変化ではなく、もっと深刻な状態を指します。

精神医学では、二重人格という言葉を使わず、 「解離性同一性障害(かいりせい・どういつせいしょうがい)」という言葉を使っています。
    おおざっぱな意味は、本来の人格が分裂 (解離) し、一つの統合された人格を保っていられない (同一性障害) ということです。



この病気の特徴は以下の通りです。
    二つ以上の人格状態が存在する。
      (それぞれの人格が名前を持ち、年齢があり、自分の置かれている状態がちゃんと分かっている。あらわれるたびに同じ行動パターンをとる)

    別の人格が主人格の身体を占有し、主人格の行動を繰り返し支配する

    人格が入れ替わっていた時の重要な個人情報を思い出すことができず、通常の「物忘れ」で説明できない。

    この障害が、薬物による影響やアルコールなどで生じたものではない。



もう少し、詳しく説明します。

    解離性同一性障害としてあらわれる人格は、各人で思い出や名前を持っています。
    主人格の性格は、消極的で依存的で、ある種の罪悪感に苦しむ暗い性格の人が多いです。
    それにくらべて、もう一つの自分である他の人格は、主人格とは対照的な性格である場合がほとんどで、主人格が暗い性格なら明るく、人見知りが激しければ社交的であったり、また主人格に対して支配的だったり、自己破壊的な性質をもつ場合もあります。

    ▼また成人していても幼児の人格があらわれる場合などは、話し方や絵の描き方、文字の書き方など、本人の経験から身に付いているはずの技量が消え、幼児の技量でしか表現できなくなったりします。
    たとえば大人になると子供時代のような絵が描けなくなるものですが、幼児の人格になると、あの「ヘタ絵」がすらすらと描けてしまうのです。

    人格の交代にルールのようなものはなく、一つの人格が現れると他の人格は姿を消す場合もあるし、頭のなかで何人もの人格が一斉に話し出したりすることもあります。

    他の人格が表に出ている場合、主人格はその状態を覚えていないことがあります。
    そのため他人格が勝手に多額の買い物をしたりすると、主人格は身に覚えのない借金を取り立てられたりして、社会的にも苦しい状況に置かれることがあるのです。

    ▼普通、二重人格といっても多くの場合は5〜20人ほどの人格が混在する場合がほとんどなのですが、そのなかでもボス的な人格は主人格のことも他人格のこともすべて把握している場合が多く、このボス的人格が攻撃的人格であれば他の人格の行動を妨害したり追い詰めたりすることがあります。
    実際、他の人格が起こした自殺によって命を落とす主人格は多いそうです。




 解離性同一性障害になる本当の理由 

    トラウマとは?

      ▼よく「トラウマ」という言葉を耳にすると思いますが、これは激しい恐怖や無力感、身体・精神的苦痛を体験することで、精神的に傷を負う(精神的外傷)という意味です。
      このトラウマは大人になった私たちも、ちょっとしたキッカケでなる場合もあります。

      ▼たとえば阪神淡路大震災のような自然災害に遭遇したり、地下鉄サリン事件のようなテロ犯罪の被害者になってしまったり、事故に遭ったり。
      こういう自分の力ではどうしょうもない出来事に遭遇すると人は心が傷つき、トラウマになるのです。

      ▼トラウマによって起こる症状はさまざまです。
      似たような状況に遭遇するとパニックを起こしたり、出来事を思い出すだけで心臓がドキドキして、ヒステリックになったりするようです
      けれど多くの人は、傷つきながらも自分自身の成長した精神がその傷を埋め、社会に適応できるように精神を修復していきます。

    トラウマの恐ろしさ−リ・トラウマゼーション
      トラウマを持った人間がストレスもなく平和に生活を続けていると、なぜかトラウマを再体験するような行動をとることがあります
      たとえばレイプの犠牲者が、再び暗い夜道を歩いてレイプされやすい状況を自分から作ってみたり、戦争の帰還兵がわざわざ具合が悪くなるのを分かっていて、戦争映画を見に行ったり…。

      原因と考えられているのは、トラウマを持つ人が平和に暮らしていると、脳内のオピオイドという物質が足りなくなり、麻薬の禁断症状と似たようなことがおきるのだそうです。
      そこでその人はオピオイドを増やそうとして、自らストレスを受けるような状況を作り、更に自分を傷つけていくのです。トラウマというのは当事者にとってツライだけでなく、精神を薬漬けにするという恐怖を持つものなのです


    幼少期の体験がトラウマになる場合…幼少期とは4歳くらいから10歳くらいまで
      幼少期にありがちなツライ事ってなんでしょう。

        ★親や親戚・兄弟などからの性的暴力
        ★肉体的暴力(体罰や食事を与えないなど)
        ★精神的暴力(育児放棄による愛情不足、孤独感を与える)
        ★言葉の暴力(執拗な馬鹿呼ばわり、「お前なんか生むんじゃなかった」などの存在否定)
        ★近親者の突然死
        ★本人の病気

      上のようなことがあると、子供は自然に”もう一人の人格”を作り上げ、空想の人格の中に痛み・怒り・恐ろしい記憶を封印し、主人格の心を守ろうとします。
      たとえば他の人格を持つことにより、「今、暴力を受けているのは私ではなく○○ちゃんなんだ」…と自分の身に起こっていることを他人格のこととしたり、虐待を受ける場合は、虐待を受けても仕方のない「悪い子・だめな子」という人格を作るか、虐待を好む人格を作り上げ、その人格が虐待を受け入れるように心を操作するのです。

      こうやって生まれた、痛み・怒り・恐怖を封印した人格は、なかなか主人格と統合せず、独立した人格に成長して解離性同一性障害が起ると考えられています。



    自分の心にもトラウマは眠っている…
      虐待やツライ経験をした子供がみな二重人格になるわけではありませんが、トラウマからくるストレスがキッカケになって人格が解離する可能性は高いと考えられています。

      ここまで読んで、「似たような体験を私もしたけど、二重人格にはなってないよ」という人もいると思います。
      それは、親や親戚のような他者が、あなたに愛情を見せてくれた、慰めをかけてくれた、または精神的に保護してくれたからです。意識する、しないにしても多くの子供は愛情を受けて育っています。

      ただ幸せな環境に育っても多くの子供は小さなトラウマを抱え、知らないうちに生まれたもうひとりの人格を心の奥にしまい込み、通常の意識ではそれを忘れて成長しているかもしれません。

      私たちも意外なトラウマを抱えて成長してきたかもしれません。
      それがなにかのキッカケであらわれることもあるのです。それはちょっと怖いことですよね。




治療方法

    二重人格の治療は「人格の統合」という形で行われます。
    本人を含めたすべての人格を統合していき、最終的にいままでのどの人格とも違った新しい人格へとまとめあげるのです。
    各人格にとって「統合」とは「死」を意味するので、簡単には説得できません。
    そこでカウンセラーは分裂した人格の中にリーダー格となるような冷静沈着な人格を探しだし、その人格が他の人格を説得して味方にできるかどうかが統合の鍵を握るとも言われています。

    統合をはじめようとすると、リーダー格の人格を補佐しようとする新たな人格が生まれるケースもあるそうです。
    これは心の中にある「ひとつの人格に戻りたい」という気持ちがそのような人格を生み出すのだろうといわれています。
    治療が効果をあげ、統合した人格が無事生まれてもそれですべて解決というわけでもなく、統合しなかった方が精神的なバランスがとれていたということもあるので、完治したといえるまでには、ながい時間が必要なようです。




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