遊戯王の謎−時代衣装

甲 冑 編



ロゼチュの甲冑をデザインしてみました

★設定のおさらい★
    舞台はイギリス。時は1455年〜1485年
    史実にあった薔薇戦争を題材に、赤薔薇派と白薔薇派に分かれて決闘!!


ロゼチュ時代の甲冑基礎知識


    ■建築のゴシック

      ゴシックといえば、12世紀から14世紀にかけて北フランスから全ヨーロッパに広がっていった、教会建築などが頭に浮かびますよね。


      写真はフランスのノートルダム大聖堂です。
      よく見ると、先端がキザキザと尖り、シャープなデザインとなっています。

      「ロゼチュ編」で紹介した貴族の日常着の 「ゴシックスタイル」 は末端を強調した、ゆったり設計と説明しました。
      けれど建築に関しては、このように天を突き刺すような攻撃的デザインが当時は主流でした。



      建築本の説明書きには 「尖塔形の屋根、大型の窓、ステンドグラスや彫刻による装飾」 が特徴となっています。
      ノートルダム大聖堂以外にも、ケルンのケルン大聖堂、パリ・シャルトルのシャルトル大聖堂なども有名です。



    ■甲冑(かっちゅう)のゴシック

      甲冑の歴史は古いです。
      古代から人は身を守るために、さまざまな防御衣を身につけてきました。
      エジプト時代の甲冑は、胸当てタイプでした(剣道の胴に似た感じ)。

      「ロゼチュの時代」は、甲冑の歴史で言うならば、「ゴシック時代前期」となります。
      ゴシック式は1460年頃に始まり、1480年頃に頂点に達します。

      その後、甲冑は 「野戦用」 「騎馬試合用」 「パレード用」 など、用途によってデザインが代わり、華美にまた実用的に進化していきます。



       ゴシック甲冑の特徴

        その重さは?

          重量:27キロ+鎖かたびら(メイルシャツ10キロ)
          =総重量50キロ

          「こんなに重くて、実戦で戦えるの?」
          全身に重量がかかるようになっているので、それほど重さを感じないそうです(^_^;)


        制作上の注意点は?

          強度、徒歩で歩く、登る、横たわる、早く起きあがる、手助けを頼まないで馬に乗るという基本動作を妨げないように、甲冑の制作にあたっては、着用者の筋肉や関節を詳細に調べ、正確に寸法をとったそうです。


        各部位の名称は?

          写真に簡単な名前を付けてみました。
          普段使用しない名前がありますよね。
          「草摺(くさずり)」など。これは太股を保護するためのものです。

          パーツはバラバラにはずすことが出来ます。
          ネジや皮ヒモでパーツを繋いで着用しました。


         15世紀の甲冑のスタイルは2種類ありました。簡単な表にまとめてみました。


        地域
        イタリア式
        ドイツ式
        特徴単純な線と大きく丸くふくらんだ表面
        (北イタリアはエッチングをほどこした甲冑よりも打ち出しの甲冑の産地)
        細長く、先端の尖ったゴシック式
        有名工房のあった所イタリアのミサグリアランシッド、インスブルック、
        ニュールンベルク、アウクスブルク


        イギリスの名前がありませんが、ロンドンにも14世紀には、すでに甲冑師の会社があったそうです。
        けれど富裕な貴族はミラノ(イタリア)、アウクスブルク(ドイツ)およびニュールンベルク(ドイツ)から良質の甲冑を輸入したそうです。




ロゼチュの甲冑デザイン

    前半でゴシック甲冑についての基礎知識を理解していただけたと思います。
    それでは勝手に 「ヘンリー・ユギ・チューダーさん」 と 「クリスチャン・セト・ローゼンクロイツさん」 の甲冑をデザインしてみたいと思います。


    二人の趣味を決める
      当時はイタリア式ドイツ式の2大勢力が甲冑界を席巻していました。
      何に対してもライバル意識を燃やす二人が、同じ趣味ではおかしいので、二人をイタリアとドイツに分けなくてはいけません。

      そこで私の独断で決めました!

        ヘンリー・ユギ・チューダーさん  を  ドイツ式

        クリスチャン・セト・ローゼンクロイツさん  を  イタリア式


      理由はそれぞれのコーナーで説明します。

      注意:
      セトさんの甲冑はゲーム・デザインの甲冑なので史実に合っていません。
      そこを無理矢理こじつけるのが、当サイトの醍醐味ですので、よろしくおつきあい下さい。


クリスチャン・セト・ローゼンクロイツ


    イタリア式甲冑を着用していた根拠



    1.肩のラインが丸く、イタリア式の特徴が見られる。

    2.腋当(わきあて)であるブルーアイズは、「打ち出し方式」で作られていると考えられます。 当時、高度な打ち出し技術で世界的に有名だったのはイタリアのミサグリアでした。
    おそらくクリスチャン・セト・ローゼンクロイツさんは、ここの工房でブルーアイズの腋当てを特注したと思われます。



    パーツの紹介
        ↓手っ甲
      本来はこのような甲冑を身にまとっていたと思われます。
      全体的に丸みを帯びたデザイン。女性的なラインがまた魅力的です。
      中性的な雰囲気を漂わせるイタリア式を好むセトさん…。
      そんなキャラだったら、ちょっと萌えなんですけどねっ。



       ↓当時のイタリア式甲冑(見本)
       丸い兜 …頸(くび)を守るために後ろが長くなっているのが、この時代の特徴です。

       ゴシック期の甲冑でとにかく、なによりも不思議なのは、靴の先が異様に長いことでしょうか。

      「ロゼチュ編」で説明し忘れましたが、当時は日常の靴もなんとなく、妙な尖り方をしています。
      ページを戻って、モデルの図の足を見ていただけると分かると思いますが、当時はこんな奇妙な靴先が愛好されていたようです。
      甲冑にもその趣味が、奇妙な形に発展させられて出現しています。

        後で出てくるドイツ式と比べると、少々、甘いデザインとなっていますが、後にこのティストがドイツ式を浸食し、私達が知っている、あの「丸っこいデザイン」の甲冑へと変化していきます。




       腋当(わきあて)の話

        あのデカくて可愛いブルーアイズ…、あれは取り外し可能となっています。

        図は「腋当(わきあて)」が「肩当(かたあて)」と一緒になったスタイルです。

        セトさんの翼のようなデザインは、この肩当ての後部を大きく上に跳ね上げさせた形となっています。

        ひょっとしたらブルーアイズにあの翼が付属しているかも…とも思いますが、どっちにしても腋の下を守るという点では同じ機能なので、とりあえずこの程度の解釈でお許しを…。
      なんとなくセトのデザインに似ている感じがしませんか?

      ゴシック式…ではないですが、胸のあたりに龍のかぎ爪を持ってくるあたり…。
      なかなか気になるデザインです。

      青の下着もまた良いですよねぇ。

      残念なのはモデルの体型が…。
      甲冑は着用している人のスタイルがバッチリと出てしまうので、惚れ惚れするスタイルの甲冑を身につけていた人は、肉体も惚れ惚れするモノをお持ちだったことでしょう。







      セトさんの長剣を適当にデザイン

      柄の部分にドラゴンの頭を、鍔(つば)にかぎ爪をデザインしたものがあったので、加工してみました。本当はもう少し長くて、がっしりしていないとダメなんですけどね。





      追記:
        ゲームカタログをじっくり見ると、なんと、甲冑にマントつけてます。
        いろいろ調べましたが、フル・アーマー(全身甲冑)で、マントをつけている例はありませんでした。
        雨ガッパならともかく、甲冑に布のマントは、ありえません。
        まぁ、16世紀くらいのパレード式甲冑ということでしたら、あり得るかもしれませんが…。
        意外に甲冑は後ろ姿にもこだわりがあるので、マントで隠すのは変です。


ヘンリー・ユギ・チューダー


    ドイツ式甲冑をデザインする前に…

    セトさんが「ブルーアイズ」なら、やはりこちらは「ブラックマジシャン」でデザインしたいです。

    モデルは表くんですが、ブラマジのスタイルは意外に曲線が多いので、ドイツ式の甲冑にこのデザインを取り入れるのは、至難の業です。

    右側が ユギさんの甲冑として参考にしてもらおうと思っている甲冑です。
    これはチロールの君主ジーグムント大公の騎乗用甲冑(1485)です。
    製作は有名な甲冑師、ロレンツ・ヘルムシュミート(Lorenz Helmschmid)です。
    彼は後に「神聖ローマ皇帝マクシミリアン一世」のために制作した甲冑が有名になり、そのスタイルが「マクシミリアン」スタイルと命名されたほどです。


    ドイツ式甲冑の特徴


    まず全体がシャープで、硬い印象を受けますね。
    上図のイタリア式と比べると、「いかにも機能美を追求するドイツ!!」といった感があります(*^_^*)。

    全身に施されている、細長い波状のモノは、 「フルーティング(みぞ堀)」 と言って、これは補強と攻撃してきた武器をそらす役割をもっています。
    このフルーティング効果で、鋭角的なのに華やかな印象を受けます。
    プレートの間接部分はブロンズのリベットで止められています。


    イタリア式と同じで、足甲は先端が尖ったデザインです。
    これで蹴られたら、血ぃ〜が出そうですねぇ…。



    パーツの紹介
        ↓兜(ヘルメット)
      ヘルメットは、丸みを帯びたデザインとなっています。
      後ろのプレートの感じがブラマジの帽子っぽいです。(私にはそう見えます)

      これは後頭部や頸(くび)、襟を保護するために錏(しころ)がついたスタイルです。
      ゴシックスタイルはだいたいこのように後ろが長いです。

      顔を守るために、目の部分は細く、顔をすっぽり覆うデザインになってます。
      頭部は丸く、優雅なデザインとなってます。



       ↓手っ甲
      手っ甲はゴシックスタイルの華というか、思い切り、硬く、尖っています。
      これは相手を殴打した時に、より多くダメージを与えられるようになっています。

      イタリアスタイルと比べると、その違いが分かると思います。




      ユギさん用に作ってみたのが、このダガー(短剣)です。
      ケルトチックに紐縄模様を柄にあしらってみました。

      ケルトチックな甲冑…、探したのですがありませんでした。
      当時、甲冑を作るというのは大変な技術で、その製作方法は、門外不出でした。
      それゆえ貴族は甲冑を輸入することになったのです。
      上記に説明したように、14世紀にはイギリスでも工房が出来ましたが、やはり良いモノを国産で作り出すにはなかなか難しかったようです。

      以上の理由からケルトチックな甲冑を探せませんでした。





甲冑を着て闘うロゼチュを考察



    ■二人が上記の甲冑を着て闘った場合を考察してみました。


    ↓馬に乗ったユギさんセトさんが、向かい合う

    ↓槍(やり)を構え、互いにその槍で、ド突きあう

    ↓鎧が頑丈なので、槍は刺さらず、二人とも衝撃で馬から落ちる

    ↓今度は互いに重たい鎧を身につけながらの取っ組み合いになる

    ↓背の高いセトさんが有利な気もするが、取っ組み合いはケルト人のお家芸…あっという間に、ユギさんが馬のりになる

    ユギさんが腰に佩(は)いていた細いナイフ(ダガー)を取り出し、兜と鎧の隙間に、このナイフを差し込み、ぐっとクビをかき切る…


    セトさん、絶命…


これが実際に二人が闘った場合に考えられる筋書きです。



参考文献:
    武具甲冑紀行−土井輝生−同信社発行/同文館発売





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