遊戯王の謎−時代衣装装

エジプト編装身具



王様が生きていた 『新王国時代』 というのは、装身具も斬新なデザインのモノが多く、現代の私たちでさえ、お目目キラキラと輝かせながら見とれてしまう美麗な品々が多数出土しています。

ここでは、そんな当時の資料を元に高橋先生が作り出した装身具にスポットを当てて、あれこれ語ってみたいと思います。

なお『千年アイテムの素材について』は、自分の「雑文」から記事を引用しました。





千年アイテムの素材について
    アニメ放映で闇マリクが 「こんちくしょぉ〜」 と千年ロッドを床に投げつけてました。
    カランカランと良い音色で転がるロッドを見て、いろいろと気がつくコトがありました。

      ・転がる音色から、中心は空洞らしい
      ・投げつけても歪んだりしていないので、素材は金ではない

    千年アイテムが古代エジプトで作られたことは明々白々のことなので、そのあたりから適当な素材を探してみると、もう、これしかありません。


      『青銅』


    『青銅』 は銅と錫(すず)の合金で、この配合の割合を変えることで、銅赤色から黄,白へと色を変えることができます。
    歴史の教科書で見る青銅器は黒に近い緑色ですよね…。
    あれは緑青(ろくしょう)というサビの色で、このサビは基本的に空気に触れると発生します。

    それからすると、三千年前に造られた千年アイテムが 『金ピカ&ツヤツヤ』 であるのはちょっと不思議ですが、墓守の一族が毎日丹念に磨け続ければ輝きも保てるかもしれません。

    でも王様の千年パズルだけは箱の中に入れっぱなしだったので、本当なら緑色の千年パズルでなきゃおかしいんですよねぇ…。
    表くんが毎日、パズルを組み立てようと触っているうちにサビが落ちた…という仮説も成り立ちますが、まぁ謎のアイテムという設定なので、深いツッコミは墓穴を掘りそうだしやめときましょう。


    青銅器作成法

      ところで青銅器を造る方法は意外に大変です。
      教科書などで 『銅鐸 (どうたく)』 の製造方法などを見た人もいるでしょう。

      まず本来の形を粘土などでつくり、さらにその上から粘土をかぶせ、型を取り、その内側を少し削っておきます。
      原型と内側を削った型を合わせ、その隙間に青銅液(?)を流し込み、冷えたところで粘土を壊し、青銅器を取りだします。
      取りだした青銅にはカスやら煤がついているので、それを磨いて、汚れを落とすと完成です。
      磨かれた青銅は金色に輝いて、とてもまぶしいです。

      6神官の持つ千年アイテムは形が簡単なので、鋳造も楽そうですが、王様の持つ千年パズルは、あの細かい一つ一つのパーツの原型を造らなければならないので、その製造工程は面倒だったと思います。


    身近にある千年素材

      千年アイテムを実際に見たいなぁ〜と思う人もいるでしょう。
      形は違いますが、なんと日常、私達は何気なく千年アイテムの材質に近いモノに触れています。

      なんだと思いますか?     それは10円玉です。

      「えっ、だってあれは茶色で光ってないじゃん!」
      と、思うかも知れませんが、新品の時は輝いてますよね…。あの輝きが千年アイテムの輝きなんですよ(^_^)v
      10円玉の材質は『銅+錫+亜鉛』です。亜鉛が邪魔ですがちゃんとした青銅の一族なんです。

      10円玉をレモン汁で磨くとキレイな輝きを取り戻します。
      お暇でしたらお子さんと是非チャレンジしてみてください。

      と、言うわけで、10円玉がいくつあれば千年アイテムが造れるかは分かりませんが、炉と型さえ準備できれば、 千年アイテムと同じモノを造ることができますよぉ〜





アクナムカノン王の副葬品(装身具のみ)



盗賊王バクラが墓を暴いてアクナムカノン王の副葬品を強奪し、王宮に乗り込んできたシーンは印象的でしたね。

バクラが担ぐ布袋から見え隠れする副葬品(原作では埋葬品)もあれこれ興味深いのですが、今回は装身具に絞って考察してみたいと思います。

←絵の中央、ジャラジャラと頭に巻き付けているネックレス…。
とっても似合っているんですが、これはおそらく『紅玉髄(こうぎょくずい)』という石を加工したモノだと思います。
どんな石かを説明するために新王国時代に作られた腕輪の写真を載せました。
このあかくて葉巻型をした石 『紅玉髄』 です。

写真ではわかりにくいのですが、透明感があって、とても美しい石です。
資料:トゥエリス女神の腕輪(新王国時代第18王朝時代前1450年)

新王国時代の職人が好んでこの葉巻型の半貴石を使用したことが分かっています。
この石はエジプトの東部砂漠から産出するので、装飾品にはよく使われていたと思います。

そしてあかい紅玉髄の隣に丸く並んでいるのは、おそらく 『ラピスラズリ』 だと思います。
ご存じのようにラピスラズリは深い青色…。あかい紅玉髄の美しさを際だたせるには最高の貴石だと思います。
けれどラピスラズリはアフガニスタンでしか産出しないので、当時はとても貴重な石とされていたでしょう。
その貴重な石で作られた装身具をミイラと共に埋葬してしまうとは…、ファラオの財力はさすがです(^-^)。




 (おまけ)気になったこと

アクナムカノン王のミイラ…包帯がズルムケていて、顔も布の隙間から見えてましたね。
本来、ミイラは厳重に身体を包帯でグルグル巻きにされています。
そして簡単に包帯がほどけないよう、樹脂で固められる場合もあります。
特に頭部は最後に包帯を巻くトコロなので、念入りに布を巻かれたと思います。

そのもっとも大切な場所が露出しているのはどういうことなのか?
全身を覆う包帯もボロボロなのはどうしてなのか?

それはバクラがミイラの身体をまさぐり、護符や義眼を抜いたということです。
さすが盗賊王、キッチリ盗んでますねぇ。




王様の足下とか

王様の足に巻いてある足飾りが気になって仕方ありません。
最初は布(ゲートル)かと思ったのですが、テカリ具合から、どうも 『金色の何か!』 を巻いているみたいです。

砂漠に行ったことのある人なら分かると思うのですが、粒子の細かい砂漠の砂はどんな小さな隙間にも入り込みます。
たとえば布の縫い目などにも入り込みます。
だから砂漠の人たちは、なるべく布を縫い合わせず、一枚布を生かして衣装としています。
一枚布ならバッとはたくだけで簡単に砂を落とすことができるからです。
イシュタール一族の服装が正しい砂漠の民の衣装かな…(笑)

王様の足に巻かれているこの装身具…、いくら宮殿生活だからといっても、砂漠に住む民族にしては不自然なんですよね。
隙間に砂がたまると不快極まりないと思います。


 『金色の何か!』 について

エジプトのファラオがその一代で使用した黄金は2トンと言われています。
なぜそんな贅沢が出来たのか!?
…それは南部のヌビアからたくさん採掘することが出来たからです。

それゆえ湯水のごとく黄金使いまくり!!!のファラオ・ライフなんですが、人間も贅沢に慣れると妙な遊びにハマったりするモノです。

王様が生きていた新王国時代…この時代、金よりも高価なモノとされていたのが 『銀』 でした。
銀はエジプトで産出しないので、もっぱら輸入に頼っていました。

ところが!!
そんな貴重な銀にわざわざ 『金メッキ』 を施し、身につけていたコトが分かっています。
なぜそんなコトをしたのでしょうかね…。
人から見えないトコロに金をかけるのが、粋人ってコトなんでしょうか…。
王様が生きていた新王国時代…美意識も相当なモノですねぇ。

というわけで、王様が身につけている金色アクセサリーの材質は 『銀』 である可能性がとても高いのです。



★ちょっと補足&訂正★
    この時代、”金より銀の方が価値があった”と書きましたが、ちょっと微妙に違っていました。

    確かにエジプトでは銀の産出量が少なく、金と同等、またはそれ以上の価値はあったのですが、それはだいたいBC3700年頃までの話。
    王様が在位していた新王国時代では、銀は西アジアから大量に輸入され、金1に対して銀7の比率で交換されていたそうです。
    だから 『銀が高価なモノだった』 という文面はお詫びして訂正させていただきます。

    それじゃ、上記の説はデタラメなのか…というと微妙で、参考文献で紹介した図録には金メッキされた銀製品が出土していることは事実なのです。

    あえて文章を書き直すことはやめ、問題提起したまま、この補足分を足すことにしました。

    史実と事実は微妙に違う…という良い例です。

    むしろ皆さんには、銀メッキをする意味を考えていただけたらいいかなぁ〜と思います。
    たとえば「先代の形見」とか「宗教的意味あい」とか…いろいろな原因が考えられます。
    私は美意識からくる「粋な趣味」と考えています。

    というわけで、興味のある方は調べてみてください。





参考文献:
    「大英博物館 古代エジプト展」図録



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