国立ナクアーネ岩絵公園

スイスは遺跡だらけ−
−国立ナクアーネ岩絵公園(Parco Nazionale delle Incisioni Rupestri di Naquane )
−セラディナ岩絵公園(SERADINA)


北イタリアのカンポ・デ・ポンテにある岩絵群




    Naquane
    ナクアーネ岩絵公園は、1979年にイタリアで最初に世界遺産に登録された場所なのに日本ではほとんど知られていません。
    ここには「カムニ族」という民族が住んでいて、この地に14万もの岩絵を残しました。

    今では北イタリアの小さな村ですが、ミケーネ人がここまで行商に訪れたという記録もあるそうで、古代の世界ではかなり魅力的な地域だったようです。
    行くまでは不安でしたが、北イタリアの小さな村にちんまりと残る遺跡はとても興味深かったです。
    アルプスを挟んでスイスでも岩絵を見たので、二つの地域の似たところ、似ていないところを確認出来て、自分としては豊作の旅でした。

    このポンテ村には貴重なロマネスク様式の教会も残っているので、2日ほど滞在してじっくり回るのも楽しいかもしれません。
    村の中心にはオリオ川が流れ、水と空気と山と遺跡を同時に楽しめる、なかなか貴重な場所でした。


    国立ナクアーネ岩絵公園


    今から8000年以上昔、旧石器時代の人々がここに絵を刻み始め、なんとローマ時代まで人々はここに絵を刻んでいたそうです。

    氷河が削り取ったつるつるの岩の上に無数の絵が刻まれていました。
    敷地は割と広いので、ゆっくり見ていると2時間くらいあっという間でした。
    観光客が勝手に岩に乗らないように管理の人たちが ”さりげなく”ついてくるので、ちょっと落ち着いて見学できない時もあります。
    岩絵に乗って写真を撮りたい場合は靴をぬいで、靴下で登れば怒られません。



    【関係サイト】
        Hotel Cumili
    35ユーロ前後。駅、バス停からも近い。
    朝食付き。もちろん部屋にトイレ+シャワーがついてます。
    一階がレストランなので食事もOK。



    遺跡めぐり

    1.国立ナクアーネ岩絵公園

    Naquane Naquane Naquane
    入り口の様子です。
    駅からずっと坂道を上り続け30分ほどで到着です。
    入り口にはチケットオフィスと土産物を売る売店があります。
    遺跡の地図や本、Tシャツなども売っていました。
    見所には看板が立ち、岩絵の模写と石のどこに刻まれているのかを示す石マップが描かれています。
    これを見ればだいたいの絵は見逃さずにすむようになっています。
    石がデカイので歩道橋から見下ろすようになっているモノもあります。

    Naquane Naquane Naquane
    狩人の絵です。
    大きな角を生やした鹿の絵です。
    当時はこんな鹿がこの辺りまで生息していたようです。
    これも狩人です。
    盾と槍を持っているようです。
    Naquane Naquane Naquane
    穀物倉庫か住居らしきモノ。
    日本の古い神社によく似ています。
    この遺跡の目玉、「ラビリンス(迷路)」です。 線が薄くて分かりにくいかもしれませんが、とても面白い形をしています。
    Naquane Naquane Naquane
    ラビリンスが彫られている石の様子です。
    中央の男性が立っている所に線刻があります。
    この人は小学校の先生で生徒たちにラビリンスについて説明していました。
    遺跡にはこのように巨石も展示してあり、削られた岩肌を近くで見ることが出来ます。 石の下に、剣の模様が描かれています。
    武具を石に刻むのはフランスのカルナックでも見かけました。
    Naquane Naquane Naquane
    もう一つの巨石です。 全体に線が刻まれていますが、特に美しいのは下部に彫られた線と凹跡です。
    これは別の岩肌に彫られていた、馬車の絵です。
    Naquane Naquane Naquane
    小さな展示室がありました。
    中には当時の生活を再現したい部屋と、キレイに彫られた美麗な石が展示されていました。
    黒っぽい石に、浅彫りで動物が描かれています。
    裏側には人が彫られています。
    丸い円の中に人が彫られています。
    のびのびとした姿が印象的です。


    2.セラディナ岩絵公園

    Naquane Naquane Naquane
    入り口の看板です。
    なぜかチケットオフィスは閉まっていて、無料で見学できました。
    ここの岩たちは、ナクアーネに比べると小さめですが、線刻はぎっちりと密集しているモノが多いです。
    ただ線が風化で浅くなってしまい、カメラでは良く分からないかもしれません。
    ポンチョのようなモノを着た人が盾と槍を構えています。
    大勢の人間が向かい合って剣を振り下ろしていたり、闘いの渦中にはせ参じようとしていたり…戦争の場面かもしれません。
    Naquane Naquane Naquane
    宇宙人みたいな帽子をかぶっています。
    古代の兜でしょうか。
    狩りの様子です。
    馬に乗って鹿を追い立てています。
    追われる鹿の様子です。
    Naquane Naquane Naquane
    ここには谷の地図が残されています。
    カモニカ谷と呼ばれる狭い谷に、いくつもの畑が作られていたようです。
    線刻の模写を見ると、かなり細かいです。
    地図石を写しましたが、全体を取り入れることが出来ませんでした。
    3mくらい長さがあります。
    四角く囲われた柵の中に凹点がいくつも彫り込まれています。


    3.小さな博物館

    carschenna carschenna carschenna
    セラディナ岩絵公園に向かう途中に博物館がありました。
    看板の裏は公園になっていましたが、この日はあいにく観光出来ませんでした。
    岩絵に描かれた家を再現したジオラマです。
    スイスはジオラマの達人が多いです。
    地図岩絵の拓本です。
    このアメーバみたいな十字は、この岩絵があるロンバルディア州の紋章になっています。
    (ちなみに州都はミラノです)
    見学時はこの模様がここにあることを知りませんでした。
    博物館で知って、もう一度山登りしようか迷いましたが体力の限界に来ていたのであきらめました…なぜなら、この日は昼飯も食べずに一日山中を歩き回っていたので、疲れが足に来ていたのです…。
    今思うとやっぱり見に行けば良かったと、ちょっと後悔。
    carschenna carschenna carschenna
    この地にどうして岩絵が集中しているのか、私も不思議に思いました。
    博物館では山の切れ込みから差し込む光に神秘のチカラを感じた古代人がこの地に絵を刻むことにした…と思っているようです。
    それらしき写真を見ると、確かにこれはアリかもと思います。
    私は逆にこの隣の写真の岩山の美しさに人々が惹かれたんじゃないかと思いました。
    写真だと岩山は遠くに感じますが、現地で受ける存在感は圧倒的です。
    神々しい姿の岩山に現地の人は神を見たのではないかと思いました。
    展示室にはその他の地域の岩絵も紹介されていました。



    ※その他

    カンポデポンテ
    ▼岩絵のある「カンポ・デ・ポンテ(Capo di Ponte)」へ行くには、Brescia駅から私鉄に乗ります。
    ▼途中イゼオ湖という美しい湖を通ります。
    ▼これがカンポデポンテ駅です。
    ▼駅前の中央通り。この先にホテルがあります。
    カンポデポンテ
    ▼泊まったホテル「Hotel Cumili」
    村に不釣り合いなほどオシャレなホテル。
    ▼村にあるロマネスク様式のサン・シーロ教会(Pieve di San Siro)
    古い部分は7世紀頃のものだそうです。この形になったのは15世紀頃だそうです。
    ▼村のシンボルでもある泉。
    ▼カンポ村は小さな通りがいくつもある中世の雰囲気が残っています。