カルシェンナ

スイスは遺跡だらけ−カルシェンナ(carschenna)

スイス・グラウビュンデン州の中程、ジルス地区
今から2000年前頃に彫られた遺跡

マニア向け特大写真を用意しました。(1826×1371ピクセル)
  カルシェンナの渦巻き写真




    カルシェンナの岩絵群


    山の頂上にあり、送電線を建設する際、偶然発見されたというエピソードがある遺跡。
    大きな石の上に渦巻きや直線が線刻されているのだが、その密集度は他の追随を許さないほどです。

    山を挟んで向こう側、イタリア国のナクアーネ岩絵群と似ているモノもあるが、個人的にはこちらの方が好きです。

    目印となる「Clap carschenna」は標高1110m。
    そこからは真下に最寄りの街「Thusis」が見下ろせます。


    これを見れば遺跡がいかに高いところにあるか分かっていただけると思います。
    とても急な山道を孤独の中、登っていかなければならないので、足や腰の悪い人にはオススメしません。
    遺跡まで1時間半と標識に出ていますが、日本人だと2時間半くらいはかかると思います。
    ちなみに売店もトイレもないです。
    天気が変わりやすいので雨具の用意もしたほうが良いです。
    人とすれ違うこともないので、村人や観光客をあてにして入山しないほうが良いです。
    もし村人を見つけたら、かけよって頂上への道など聞いてみましょう。
    ただし私が会った兄ちゃんは英語が通じませんでした…。


    【関係サイト】
        地元のサイト(ドイツ語)
        Felszeichnungen Carschenna



    遺跡めぐり

    1.細長い巨石の線刻

    carschenna carschenna carschenna
    急な崖の上にある巨石です。
    左下はかなり落ち込んでいて、とても危険です。
    石の細長さを生かして、直線がずーっと刻まれています。 その直線を挟んで図形がいくつか刻まれています。
    carschenna carschenna carschenna
    荷を背負う動物のような線刻。
    私の考えですが、この直線は川を表し、丸い図形は村や聖地を表しているように思います。
    似たものがイタリアにもありました。
    実際、「Clap carschenna」から見た風景と線刻はとても似ています。
    服を着たような人?が刻まれています。


    2.張り出し岩の線刻

    carschenna carschenna carschenna
    崖の端にちょこんと乗っかっているような巨石です。
    手前の白い石にはあまり線刻はなく、奥の黒っぽい石にみっしりと刻まれていました。
    なめらかな岩肌の上に割と大きめの図柄が刻まれていました。 迷路タイプの線刻。
    これと同じモノがイタリアのナクアーネにありました。
    いきなり大雨が降ってきて石の色が黒光りするようになってしまいました。

    carschenna carschenna carschenna
    同心円たち
    大小、並んで彫られています。 謎の記号。
    他のモノより深く大きく削られていることから、氏族を表す家紋のようなモノかと思います。


    3.ちょっと小さめの岩 3個

    carschenna carschenna carschenna
    岩肌はなめらかですが、ここの線刻は少なく、おまけにとても彫りが薄く、あまり判別できませんでした。 この石には奇妙な記号がたくさん彫られていました。
    拡大したのはニワトリの足跡のような線刻です。
    この石には同心円タイプの線刻がすこしだけありました。



    4.一番大きく、面白い石

    carschenna carschenna carschenna
    一番奥に、一番面白い岩がありました。
    中央が凹のように窪んでいて、その周りにびっしりと同心円が刻まれていました。
    窪みに対して左側の線刻です。 こちらは下になりますが、ここにもびっしりと線が刻まれています。
    穴も多く、その密集している様を見ていると、なんだか圧倒されました。

    carschenna carschenna carschenna
    凹形に窪んだところに貯まった雨水はゆっくりと下に流れていきます。
    そして一番奥のため池のようなところで、一休みし、次に崖の下へと落ちていく構造になっています。
    これを見ていると、このカルシェンナという遺跡は水を意識して作られているような気がします。
    私が訪れた時、ちょうど雨が降っていたので、それを強く感じました。
    雨水が貯まる池。
    あきらかに人の手でなめらかに岩肌が処理されています
    貯まった水がさらに溝を通って下に落ちていきます。
    落ちた先がどうなっているのかは確認出来ませんでした。
    carschenna carschenna carschenna
    貯め池の横に彫られていた記号です。
    この場所が特別な場所であることを示しているように思います。
    岩の上にある凹形の窪みに雨水がたまり、水滴によって作られた円が石に彫られた円とそっくりなのが面白いです。
    古代の人もこうやって雨の日を楽しんだのかもしれません
    巨石の近くは緑に覆われた、広場になっています。


    ※行き方

    カルシェンナ
    最寄り駅:Thusis
    とりあえず駅前広場に出る。
    キョロキョロ見回すと、方向を示す看板があるので、それを確認してから歩き出す。
    途中、大きい道路の下をくぐったりしながら、村へと向かう。
    村の一本道を歩くと噴水が現れるので、向かって右へ折れる。
    先にピンク色の教会の塔が見える。
    その脇をずんずん進むと山への入り口が現れる。
    カルシェンナ
    歩き始めてすぐ岩橋をくぐる。
    手入れされた階段を上る
    遺跡への標識はこの看板。
    「Clap carschenna」を目指す。
    途中、古城の足下を通る。
    カルシェンナ
    途中、村人が設置した水桶が現れる。
    が、水はない。
    頂上近くには、牧草地が広がる。この辺に民家はあるが人の気配はない。
    牧草地がとぎれる辺り、その山の向こうに遺跡がある。
    ついに「Clap carschenna」に到着。
       この茶色い標識が遺跡への案内板
      遺跡まで坂道を下って7分くらい。