遺跡馬鹿−シチリアとマルタのカタコンベ


おどろおどろしい・カタコンベ
訪問したシチリア島とマルタ島のカタコンベを紹介したいと思います。


◆カタコンベって何?

    カタコンベ [(オランダ) catacombe]
    地下埋葬所。特に、ローマの初期キリスト教徒の共同墓地が有名で、迫害時には礼拝所としても使用された。
    魚をキリストの象徴に用いるなど、壁画や石棺は美術史上重要。
    大辞林 第二版


◆パレルモ(シチリア)のカプチン派のカタコンベ

入り口はどうってことないのに、その中はまさに黄泉の国そのものでした。
切符売りの修道僧に「おお〜、雰囲気あるね〜」と、感動し、扉を開けて階段を下りていくと、そこには数え切れないほどのミイラが…。
メイン通路には男性のミイラが壁に2段になってぶら下がっています。
あまりにボロボロで首だけになったミイラもあり、ちょっと怖いです。
奥には子供のミイラも。
レースの衣装を着せられている子も多く、親の愛情が伝わってきます。
ここはミイラだけでなく、棺桶に入ったままのミイラもあり、小さい小窓からこちらに顔を向けているミイラは怖さ80%です。
そしてお目当ての「ロザリア・ロンバルド嬢のミイラ」へ。
鉄格子の向こう、2体のミイラ(これも子供)にかしずかれるように、ガラスケースの中に横たわっていました。
この日はアグリジェント遺跡の帰りだったので、カバンの中には双眼鏡が…。
監視人に気味悪がられながらも、穴があくほど観察しました。
(これから行く人は必携です)
肌はすこし乾燥気味という感じで、本当に自然な肌をしていました。
目元もまつげがしっかり残っていて、見ればみるほど、彼女が80年前に死んでいるということが信じられません。
奇跡って本当にあるんだな〜と、実感しました。



ロザリア・ロンバルド
    1920年に2歳でこの世を去った、ロンバルド将軍の娘。
    秘密の施術をほどこされ、現在も眠るがごとくその姿を留めている。
    施術を行った人物はその技法を伝えることなく亡くなったため、彼女の秘密は永遠の謎となった。




◆シラクーサ(シチリア)のサン・ジョバンニのカタコンベ


まず渡された地図がすごい。蟻の巣のような通路、そして広さ。改めて規模の大きさに絶句しました。
おそるおそる内部へ入ると、以外に広いので、「暗所恐怖症」と「閉所恐怖症」の私でも楽に見学できました。
ウロウロしていると、突然壁画が残るお墓なんかもあらわれるので、宝探しの気分も味わえます。
できれば一人でこわごわ見学することをおすすめします。
どこまでも続く石棺。

巨大な石棺もドカドカ造られています。中身は空っぽの場合もあるし、土が入っていることもありましたが、だいたいどれも空っぽです。

石棺のなかは、頭をのせるための窪みまで彫り込んであり、とっても実用的です。



◆ラバト(マルタ共和国)の聖パウロの地下墓地
4〜6世紀に造られた地下墓地。
ここもシラクサのカタコンベと同様、とても広く、また濃密にお墓が掘られています。
シラクサと違うところは、入り口近くのホールに「テーブル」が彫られていることです。
これを「アガペ・テーブル」と呼び、解説によると「埋葬の際に会葬者がお別れの食事をしたところ」だそうです。
私としては、「こんなところで食事?」と、ちょっと疑問です。
なぜなら当時はまだ、すべての石棺に遺体があったわけだから、ニオイとかけっこう強烈だったのではないかと思います。
じゃ、何に使ったか?と聞かれると、ちょっと困りますが、みなさんはどう推理しますか?
カタコンベの地面には明かり取りのための窓が開けられています。
それがこの写真です。



◆ラバト(マルタ共和国)の聖パウロの教会と地下墓地

難破した聖ヨハネが隠れていたという洞窟が教会の下にあります。
開放しているカタコンベは少しだけなので、「な〜んだ」という声も聞こえてきそうです。
ここに併設されている博物館にはなぜか「トリノの聖骸布」のコピーが無造作に壁にたてかけてありました。



◆ラバト(マルタ共和国)の聖アガサの礼拝堂と地下墓地

ここはガイドの人がいて、その人の案内で礼拝堂や地下墓地を見学するようになっています。
撮影は出来ませんが、代わりに絵はがきを売っているので、美しい聖アガサの絵を欲しい方は忘れずに購入するといいでしょう。
礼拝堂の奥ゆかしさも良いですが、奥に広がるカタコンベもいいですよ。
ここは、石棺の中にまだオリジナルの遺体が残っています。
そのせいか、ニオイが他とは違います。必見です。


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