Lepenski VIR遺跡


ドナウ川で栄えた、一風変わった遺跡


    紀元前6400〜紀元前4900年の遺跡です。
    ベオグラードからバスで3時間。
    ドナウ川の 『鉄門峡』 と呼ばれる川幅が一気に狭くなる名所の近くに遺跡はあります。
    対岸はルーマニアです。


    【行き方】
    ベオグラードから長距離バスに乗りますが、本数がとても少ないです。
    私は朝6時発のDONJI MILANOVAC AS(KLADOVO AS)行きバスに乗りました。到着は9:30頃でした。
    遺跡の前にバス停はありません。
    遺跡に一番近いバス停は 『BOLJETIN R』 です。
    バス停は遺跡から2キロ離れているので、バスに乗るときに運転手さんに途中で降ろしてもらえるか頼んでみましょう。
    帰りは2キロ歩いてバス停へ行く方が確実に乗れると思います。
    バスは時間通りに来ます。
    早く遺跡前にバス停を作って欲しいです。

    ベオグラードの長距離バスターミナルです。
    バスは時間通りに出発です。
    ドナウの鉄門峡が見えてきました。
    この辺りはジェルダップ峡谷と呼ばれ国立公園になっています。
    ギリシャの商人が木造船に乗りこんなところまで商売に来たそうです。
    この時は上流で雨が多く降ったため増水していました。
    前方の崖にお城のような構造物が見えてきました。
    これがゴルバッツ (Golubac) 要塞です。
    7つの塔が残っているそうですが、バスから見ただけじゃ分かりません。
    降りて見学したかったのですが、ここで降りると遺跡にたどり着けないので諦めました。
    この城もバス停からかなり離れています。
    ゴルバッツ村にはホテルもあるようです。
    この城はドナウを行き交う船から通行税を取り、その収入で大いに儲けたそうです。
    今は美しい姿を川面に映すだけの寂しい城です。
    「DONJI MILANOVAC」へ向かう道の途中で降ろしてもらいました。
    会いたかった土偶の看板もあって気分は高まります!
    観光バスが止まるような広場から川沿いに道が続きます。
    この道の先に博物館があります。
    博物館が見えてきました!
    この建物の中に遺跡があります!
    しかし実は移設したもので、本来はもっと下の方にあったらしいです。
    まずは博物館の名前と記念撮影です。
    セルビアはキリル文字なので読めません。
    遺跡と対面!
    ひろ〜〜〜い!!
    博物館内部には映画上映スペースもあります。
    まずは遺跡発掘のエピソード映画を観ます。
    この遺跡は住居跡だそうですが、私には儀式のために作られた施設のように感じました。
    地面に台形の形が作られていますが、この形が信仰の対象だったようです。
    台形の上にチラホラと石像が転がっています。
    石で囲った内部がくぼんでいますが囲炉裏の跡と言われています。
    家の基礎…とも言われていますが本当でしょうか。
    段々の上に台形型の家がバランス良く並んでいます
    上から見ると台形が良く分かります。
    人が寝起きするほどの広さがないことも分かります。
    観光客が遺跡をのぞき込んでいます。
    台形の大きさが分かってもらえたでしょうか。
    さりげなく木が植えられています。
    実は館内は水の流れる音や鳥のさえずりが聞こえるようになっていて、とっても癒される雰囲気になっています。
    遺跡の中に木が植えられているのも自然な感じを少しでも演出したいという想いだと感じました。
    遺跡を上から見てみます。
    石皿のようなモノが置いてあります。
    いよいよ出土品を見ます。
    ガラスケースにうやうやしく飾られています。
    人骨発見!
    ずいぶんと大柄な人骨です。
    骨も太く、今から8千年前の人ってこんなにゴッツイの?と思いました。
    もう一体の人骨です。
    この人も全身がキレイに残っていました。
    なんとあぐらをかいたまま埋葬されました。
    …そう、台形を意識しているんですね。
    ビル遺跡の人たちの台形にこだわる執念がすごくてドキドキしました。
    土器です。
    表面がキレイで形も整っていて、とても美しいです。
    文明の高さを感じさせます。
    これは石を削ったもので漁網につける”おもり”でしょうか。
    どんな魚が捕れたのか気になります。
    縫い針(編み針)です。
    これで服を縫ったり、網を作ったりしたんでしょうか。
    お待ちかね、石像たちです。
    これはドナウ川の「波」をあらわしているようです。
    たしかに太い線が波打っています。
    小さめの石像です。
    おとなしい表情をしています。
    遺跡のマスコットボーイ!
    チケットになっている像はこの子です。
    丸い目に丸いクチビル…どうみても「魚人」です。
    彼らは魚と人の融合した像を祀り、豊漁を祈ったようです。
    なんとも不思議な顔をしています。
    この石像は「森」をあらわしているそうです。
    言われてみると、確かに伸びた蔓が絡まっている様子をあらわしているように見えます。
    この遺跡の近くの山道に迷い込んだ経験からいうと、トゲのある植物をモチーフにしているんじゃないかと感じます。
    控えめな表情の石像です。
    初期の石像は彫りが浅いです。
    石像にグッと近寄ってみました。
    この像も丸い目に厚いクチビルをしています。
    口元が「ヘ」の字になっているのが可愛いです。
    顔は可愛いですが、体はゾゾゾな模様になっています。
    かなり手慣れた職人が彫ったような印象を受けますが、顔は相変わらず魚人顔です。
    魚人に手がついています。
    日本でいうなら「河童」でしょうか。
    とても印象的な顔をしています。
    当時の人たちはこれを想像上の生き物ではなく、実在するドナウ川の精霊だと思い信仰していたのかもしれません。そう思うとなんだか神々しいです。
    土偶以外に見つかった日用品です。
    博物館の外に当時の家が建てられていました。
    見た目は△で、とっても不思議な形です。
    こういった家が各遺跡の上に建てられていたそうです。
    対岸ルーマニアにそびえる『KORSOの丘』です。
    とても目立つ岩肌で、神々しいです。
    Lepenski VIR遺跡がここに作られた理由はきっとこの『KORSOの丘』があるからだと思います。
    数々の古い遺跡を観てきましたが、遺跡の周囲には必ず特徴ある岩山があったりしますが、ここもその条件にピッタリと合っています。
    この岩山の形が台形なので、ビール遺跡の人は家や人の埋葬の形まで台形にしたのだと思います。
    オミヤゲ売り場です。英語の本、マグカップ、Tシャツなどが売っています。
    ここでTシャツを買いました。シャツの前面に土偶の顔がプリントされています。
    しかし赤いTシャツを買ったのですが、写真のインクが薄い灰色なので、ものすご〜〜〜く注視しないと顔が印刷されていないように見えてしまいます。
    でも気に入っています。最近は博物館で面白い絵柄のTシャツ(バカTと呼んでいますが)を買うのが楽しいです。
    カードは使えません!
    戻る途中、道を間違えて小さな小川に出てしまいました。
    そこで見た地質の様子ですが、なんか地層が折れ曲がっています。
    それも硬そうな岩石が…。
    どうしてこんな形になったのか不思議です。
    ベオグラードに戻る方法です。
    まず降りた主道路まで戻ります。
    つぎに「DONJI MILANOVAC」方面へ2キロ歩きます。
    トンネルをくぐり、陸橋を渡るとバスの停車できる広い場所に出ます。
    ここがバス停です。


    遺跡スケッチ



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