世界遺産−アルタの岩絵(Rock Art of Alta)

北極圏の岩絵群


     北欧を代表する岩絵です。
     1985年にユネスコの世界遺産に登録されました。
     これらは海岸沿いに残る岩をキャンバス代わりにして紀元前4200年から500年頃に描かれたそうです。
     北極圏という夏でも涼しいほどの極寒の地に人々は家を建て船を作り、漁や狩りをしながら生活していたようです。そんな様々な日常生活の場面が岩絵に残されています。
     ここの見どころは、時代によって海面の高さが変化したため、山の上の方に描かれた絵は古く、海の近くに描かれた絵は新しい時代のモノとなっています。なので時代によって変化していく絵の技術を比べることが出来ます。

     敷地内には博物館があり、食事とミヤゲも購入できます。
     雪が降ると岩絵が雪の下に埋もれてしまうため、営業は主に夏が中心です。


    【関係サイト】
    アルタ博物館公式サイト
    アルタ観光局
    空港−博物館巡回バス時刻表(季節によって変わります)
    アルタ空港

アルタ岩絵の紹介

「norwegian」という格安飛行機でオスロから飛んできました。
朝7時オスロ発−9時アルタ着
同日 21時55分アルタ発−23時50分オスロ着
(そのまま空港で雑魚寝)
普通の人はアルタから最北端のノールカップまで行くんでしょうが、あまり興味がなかったので、この日帰りプランを考えたわけです。
意外とアルタ空港は小さいながらも居心地が良く、レストランも充実しているので真夜中までの待機は苦痛ではありませんでした。
アルタ空港は海ギリギリにあるので、滑走路と海が近いです。
滑走路から見える風景は北極圏ならではの寂しさと美しさでウットリしました。
風はさほど冷たくなく、動くのにちょうど良い気温(16度くらい)でした。
バス停でバスを待っている時に撮影しました。
この道がメインで、地元の車が恐ろしいスピードで過ぎ去っていきます。
この道をまっすぐ行くとアルタ博物館に着きます。
そしてさらにまっすぐ行くとトロムソ。
さらにさらにまっすぐ行くとオスロです。
ついに到着! 「アルタ博物館」です。
こざっぱりした建物で、つい最近完成したばかりです。今も増築中です。
入るとすぐにレセプションがあり、入場料を払うと日本語のパンフレットをくれます。
これがとても便利で、岩絵についている番号に合わせて解説を読めば、すべての岩絵を順序よく見学でき、見落とすこともないです。
博物館を通り抜け、最初に対面する遺跡が、この「住居跡」です。
両側を斜面に囲まれているので、あまり風が吹き込んできません。
景色も良いし、海面も穏やかなので、ここに居を構えたのも当然だと思いました。
写真では分かりにくいですが、遠く向こうに雪山が見えます。
遺跡には遊歩道が造られています。
岩から岩へ、谷から崖へと道は複雑になっているので、予想以上に歩きます。
6月末の北欧は緑がとても美しいです。
第一岩絵と対面です。
これらの岩は氷河に表面を削られたもので、とってもツルツルしています。
この遺跡は山の中腹にあり、工事をしにきた技術者に偶然発見されたそうです。
遺跡保護のため絵には赤い塗料が塗られていますが、これがないと目が慣れていない観光客には多くの岩絵を確認するのは難しいと思います。
この辺は古い時代の絵で、柵の中に囲われている牛などが描かれています。
遠く向こうに海が見えますが、当時は岩の近くまで海岸線が広がっていたそうです。
北欧の大地は年々隆起していることを実感しました。
絵を拡大してみました。
動物の種類によって絵をしっかり描き分けています。
シマシマで首にもっさり毛がある角の動物はヘラジカでしょうか。 線路のような柵で動物たちを囲っています。
すでに放牧が行われていた証拠ですね。
船に乗る男が弓を携えています。
その先には2頭の子供を連れた熊が描かれています。
簡単な線画ですが小熊の可愛らしさが伝わってきます。
弓を持つ男をアップにしてみました。
弓の形が独特ですが、長くて太い木を使っているようです。
この弓で射られた動物はひとたまりもないでしょう。
魚釣りをしている様子が刻まれています。
糸の先には魚がかかっています。
アルタの岩絵にはたくさんの魚が描かれていますが、そのすべてが『オヒョウ』というカレイの仲間です。
私は今の今までオヒョウについて知らなかったのですが、こいつは2mほどに成長する巨大魚だそうです。
姿がへらべったく異形であったり、巨大でつり上げるのが大変だが実は美味とか…。
古代アルタ人がこの魚を特別視する理由が分かります。
ネックレスがたくさん描かれています。
北欧は装飾品の出土物も多く、当時の人たちがオシャレを楽しんでいたことが分かります。
岩絵に刻んだ目的は神への供物を意味しているのかもしれません。
船に乗る二人の男が描かれています。
一人は弓を持ち、もう一人は漁に使う道具かなにかを持っているように見えます。
大きな鳥が描かれています。
人間と比べるとかなり大きいことが分かります。
白鳥?アヒル?
捕獲したというより家畜として育てているような感じです。
入り江の右半分を見たので、これから左に移動します。
入り江には小石が堆積し、海草がたっぷり打ち上げられているので波打ち際まで行けませんでした。
並んで歩く動物です。
牛のようにも見えます。
飾り棒を持って向かい合う男達です。
衣装が少し変わっていて、三角に尖った帽子を被っています。
足元には倒れた鹿の姿があります。そこから糸のようなモノが伸びているのは何でしょうか。
男たちの足下には可愛い2本の耳をピンと立てたウサギがいます。
船とオヒョウです。
大勢が船に乗っています。
漁をしているところなのか、祭りなのか定かではありませんが、船首と船尾がピッと空に向かって伸びているデザインはこの後に登場するヴァイキングの船に似ています。
見学を終えて博物館のカフェで遅い昼食です。
これでたしか900円くらいでした。
北欧らしい無地の家具が和みました。
窓からは岩絵と海が見えました。
博物館では絵はがきと本を買いました。
併設の展示室をのぞいてみました。
遺跡関連以外にも、この地域の人々が使った道具、歴史などが分かりやすく説明されていました。
写真中央にうっすら見える灰色のモノはアザラシの毛皮です。
アルタで発掘された岩絵を描くための道具です。
このような石器を使い、岩肌に絵を描きました。
イタリアのヴァルカモニカの岩絵群(ナクアーネ岩絵公園)を見に行った時、岩絵の近くにV字に切られた谷があり、そこからある特定の日に太陽が昇る?という説明を見ました。
「スイスは遺跡だらけ」参照
なのでアルタではどうだろうと探してみたらありました。
ただ方角は東西関係なかったので、ヴァルカモニカと共通点があるのかは分かりません。
ちなみにターヌムでは見つけられませんでした。


    【博物館への行き方−バスの乗り方】

    注意:循環バスは平日のみで、土日は休みです。

    空港出口を背にし、左に伸びる道を進みます。
    多少、湾曲しているが気にせずに歩くと大通りが現れます。(10分ほど)
    道路沿いに左手を見るとバス停があるので、そこでバスに乗ります。
    終点が博物館ですが、一応、博物館まで行くかを確認しましょう。
    バスは街の中心を経由し、博物館へ向かいます。
    このバスは循環バスで、博物館前バス停で折り返します。
    そのため空港へ戻る時は、下りたバス停で待ちます。
    空港が近づいてきたら管制塔に注意し、管制塔が見えたら降りる準備を始めます。
    空港から直接ノールカップ行きのバスも出るので行く人はサイトで時間をチェックしましょうい。

    空港にはコインロッカー、売店、レストランがあります。


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