フランスは遺跡だらけ−レゼジー村(LES EYZIES DE TAYAC)について
マンモス狩りを楽しむ人々(Abri Pataud博物館)
ドルドーニュ川が流れる小さな村、レゼジーには太古の昔から人が住んでいました。
その理由は以下の3つです。
+天然の岩棚が住居に適していたこと
+ドルドーニュ川のお陰で水不足に悩む必要がなかったこと
+谷に挟まれた地形のため気候の影響を受けにくく、常に快適な環境で生活できたこと
生活が安定してくると人間のエネルギーは芸術へ向かうのでしょうか…。
今から1万8000前にクロマニヨン人たちはマンモスを狩りながら、絵を描き、彫刻も手がけました。
当時の彼らがどのように生活していたのかを紹介します。
【ドルドーニュ川流域】
さらさらと水音を立てながら流れるドルドーニュ川。
勾配が緩やかなため流れも穏やかです。
この川の流れが石灰岩の岩山を削り、現在のような景観を作り上げたそうです。
のぞき込むと小さな魚が見えました。
この辺りはフォアグラが有名です。
村にはおみやげ用の「フォアグラ瓶詰め」を専門に扱う店もありました。
【古代の動物たち】
氷河期にはマンモスが闊歩し、暖かくなるにつれて馬や鹿などが登場します。
人間たちはその動物をずっと観察していたようです。
「COMBARELLES」洞窟には
マンモス
や
メスライオン
の彫刻が一緒に残っています。
同じ場所にシベリアの動物とアフリカの動物の絵が残っているとは信じられないのですが、実際に目にすると本当に驚きます。
過去から現在まで、地球の気候と闘ってきた人類に感動しました。
【昔の住居】
石灰岩の崖は写真のような感じでえぐられています。
古代の人は天然の岩棚を利用して住居を造りました。
木を立て動物の毛皮で囲うだけのシンプルさですが、十分、快適だったみたいです。
生活の道具は主に石などで、この頃はまだ土器の出現はありませんでした。
石を巧みに割り、それらを使って彫刻も行っていました。
【壁画について】
壁画は単純な手法から複雑なモノへと変化していきました。
1.石器による線彫り
2.一色のみの輪郭描き
3.色絵(ぼかし、グラデーション等)
4.洞窟の凸凹を利用した立体画
古代の人たちは同じ洞窟、同じ場所に絵を描くことが多かったため、狭い範囲に多種の絵が重ね描きされています。
何万年という時をかけて進化してきた”絵を描く技術”を直接見ることが出来るのは、素晴らしいことだと思いました。
しかしこれらの絵は光の届かない洞窟の奥深くにあったり、腹這いにならないと見られない場所などに描かれていて、鑑賞目的で描かれてはいなかったようです。
神に捧げる意味があるのではないかという説もあります。
【現在のレゼジー村】
遠くにむき出しになった石灰岩の崖が見えます。
2万年前はこれほど高さはなかったと思いますが、当時を彷彿とさせる風景が今も残っているのは奇跡に思えます。
「フランスは遺跡だらけ」のトップに戻る
遺跡馬鹿トップに戻る